日本だけではない。世界中から古美術コレクターが年々減っている。それは何故か?経済的問題とか色々細かい要因は無限にあるが、一言で言えば「時代遅れ」なんだろうと思う。インターネット誕生以降、世界の速度は何倍、何百倍も早くなった。全てが合理化され、効率化し、スピード化され、人々は忙しくなった。

 

ゆっくり何時間もかけてのんびり何かをすることは悪なんじゃないかという風潮が生まれ、のんびり、ゆっくり、じっくりできない人が増えた。ある調査ではインターネットの操作で8秒間以上待たされると人はイライラするそうだ。例えばインターネットブラウザの更新ボタンを押して8秒待っても更新されないとイライラする。たった8秒さえ待てなくなったのだ。現代人は。

 

古美術だけでなく、相撲、歌舞伎、能、茶道、生け花などなど伝統的、文化的なものにお金をかけなくなった。富裕層はそれよりも不動産、車、時計、ワインなどのより分かりやすく資産性が高いものに「消費」ではなく「投資」する人が増えた。

 

一般の人はパソコン、iMac、i phoneや趣味のゲーム、釣り、キャンプなどにお金を使えばもう小遣いがなくなる。バブル崩壊後永遠に続くデフレにより我々は名実ともに貧しくなった。美を愛する余裕、ゆとりが持ちにくくなったのだ。しかし、それは日本だけではない。先進国は世界的にどこも同じだ。

 

今や世界第2位の経済大国となった中国はかつて発展途上国であり、未だ成長の途上だ。彼らは圧倒的な富を武器に世界中から美術品を買い戻した。彼らとて、それは「投資」でやっていて、美を愛でているわけでもない。本物のコレクターはどこへ消えたのか。悲しいことである。

 

しかし、翻って見るとどうも経済や時代だけのせいにはできない事情もある。景気が良い時代には有象無象、玉石混合の骨董屋がいて、中には悪い奴らも沢山いた。本物の方が少ない。そういう輩が偽物を販売したり、ぼったくり価格で販売したりしてお客様が古美術への不信感を募らせて去って行ったのだ。それは「なんでも鑑定団」という古美術ショーを見てもわかるだろう。あれは演出過多だが半分くらいは正しい。

 

今後急激に経済が回復しお客様、古美術愛好家が急増することはあり得ない。客観的に考えて非常に絶望的な状況と言わざるを得ない。しかし、そんな中でもなんとか生き抜く方法はあるものだ。次回は一筋の光明を示したいと思う。

 

続く–